心の距離
気持ちを伝えなければ、恋愛は成立しない。

気持ちを伝えなければ、規則違反にはならない。

唇を重ねながら、自分に都合の良過ぎる解釈ばかりが頭を過ぎる…

どちらからとも無く布団に潜り込み、思いを伝えるように唇を重ね続けた。

絡み合う指と唇…

激し過ぎる呼吸と鼓動…

纏わりつく服が邪魔に感じ、そっと唇を離した。

「…瞬くんって彼女居るの?」

呼吸を整えながら聞いてくる彼女。

彼女に覆い被さりながら、耳元で小さく告げた。

「彼女は居ないけど、好きな人は居るよ…秘密にしなきゃいけないから、何も言わないけどね」

「…不倫?」

「違うよ。規則違反になるから何も言わない。何も言わなければ、規則違反にはならないだろ?」

「…都合良過ぎない?」

「都合良過ぎだけど、お互い罰から逃げる理由にはなるよ。付き合って無いんだし」

「本当はズルイ人なの?」

「そうかもね…」

悪戯に抱き合い、唇を重ねるだけの行為。

好きな人が彼女自身と言う事が、バレてしまったかもしれない。

きちんと伝えて居ないから、バレてないかもしれない。

半信半疑のまま何度も唇を重ね、彼女の唇に夢中になった。
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