Hurly-Burly 【完】

夜風がふわり


恐ろしい形相で追って来てる。

オロオロするあたしに馨君が引っ張る。

みんなも走り出した感じで何故かものすごい

獣道を走り抜ける始末だ。

フェンスをよじ登り小道を進み、時には

公園で身を隠したり、息つく間もなく走り出す。

工事中の柵をよじ登ったり本当にもう体力的に

も精神的にも辛い。

「チビ急げ。」

「日和ちゃん、さっきの勢いどうしたの!!」

「ヒヨリン、休んでる場合じゃないから。」

「早くしろってぇーの。」

心が折れそうです。

障害物走よりも障害の多いこのコースは

誰が選んでるんだ!!

隣にはボケッとしながら同じく走るちぃー君。

「やべーな。

これは一旦分かれるっきゃねぇだろ。」

金髪ライオンが柵を軽々と飛び越える。

みんな、どうしてそんな身体能力すごいの!!

あたしはよじ登るが精一杯だ。

それでも必ず落ちないようにちぃー君が

最後を走ってる。

「散れ。」

その時、息を整えるため足を一旦止めた時

のことだった。

今まで大人しく着いてきたちぃー君が甘美

のある低い声で唸るようにそう呟いた。

一瞬のことで目が点になった。

馨君はナル君を引っ張りながら、

手を振って消える。

京はユウヤを取り押さえて面倒臭そうに

馨君とは違う道を進む。

みんな近くの人を引きずって行く。

慶詩と伊織君は腹を押さえながら、

じゃあなと言ってまた違う道を進んだ。

「あたっ」

取り残された、どうしようと思った時

だった右手首を捕まれて走り出した。

「お前はこっちだ。」

それはオレンジブラウンのちぃー君の

手だった。
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