Hurly-Burly 【完】

伊織君があたしの隣に移動する。

その何とも言えない状況に口籠るが、

「じゃあ、何を・・」

伊織君のフェロモンは毒だ。

恐ろしい魔力を持ってるに違いない。

あたしを見下ろす伊織君は半端ない

色気を放っている。

『君の瞳に完敗』のムービーでも撮る

気なのではないだろうか?

その恐ろしさゆえにあたしは現実逃避を

繰り広げ一人パニック劇場に旅立つ。

もしそんな映画を撮るなら監督はあそこで

オセロをしているもっくんで助監督は

よっちゃんだろう。

カメラを回すのはケラケラ笑ってる

ももっちにでもやらせよう。

そして、待ってましたの主人公が超絶美形の

ちぃー君で相手役は伊織君に決定だな。

それしか、居ないしね。

「ぶほっ」

笑えるキャスティングにソファーを叩く。

そして、伊織君がちぃー君に今晩はどう

なんてキザなセリフを言うとしよう。

「おえっ」

気持ち悪すぎて顔が青ざめたと思う。

変な想像するんじゃなかった。

「おいおい、一人で旅立って変な妄想

してんじゃねぇーの。」

伊織君のせいだし!!

その魔力のせいだから。

「ごめん・・その悪気はなくっ」

伊織君の指があたしの唇に触れる。

ひぇっー!!!

この男何しやがった。

「ただでさえ、慶詩居ねぇーのに

おめーの病気じみた妄想止められねぇーの。」

いいよっ!!

別に止めろと頼んでないから。

勝手にやっとくわ。

失礼な男め。

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