Hurly-Burly 【完】

電柱やどっかの看板に乗ってる住所をたまたま

チラッと見た。

-北地区17番街--北地区8番街--北地区10番街-

-北地区2番街--北地区4番街-

ゾッとするような字にあたしの何かが危機的

状況に陥ってるのだと思った。

「今のって明香里ちゃん。」

そうなのだ。

あの可愛い声の持ち主も今まさに佐藤君が

追っているのは明香里ちゃんなのだ。

何故か、気分悪そうに電話で話してた

明香里ちゃんの様子が可笑しいのはあたし

だけじゃなく佐藤君にも分かったらしい。

鈍感そうな佐藤君にさえ異常だと思ったのだ。

「うん、何か変だよね。

こんなところに…初めて来た。」

佐藤君、お前もビビっておるのだな。

よしっ、あたしがビビってどうする。

ここはしっかりせねば!!

その時、ずっとケータイを持っていた

あたしの手が震えた。

「あっ、行くみたいだ。」

佐藤君は相変わらずあたしの手を引っ張った

ままで、ケータイが震えて誰かも確かめずに

電話に出ることとなる。

でも、その声を聞いた途端安堵というか

もうこの街の発する異常な空気さえ美化

されていくような気さえした。

「日和ちゃん、今どこに居るの?」

この優しい声の持ち主は他でもない。

「馨君、ちょっ・・佐藤選手少し

スピード落としてっ・・・えっと

あの・・ぐへっ・・・」

佐藤君のスピードは相変わらずで

とてもゆっくりと馨君と喋れる状態

ではなかった。

久しぶりに話せたと思ったのにもう

佐藤選手!!

お前、絶対に覚えてろよ。

あたしのブラックリストの追加者決定だ。

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