Hurly-Burly 【完】

迫り来る悪


悲しい性だ。

何故、この緊急事態に充電なんか切れて

しまうのだ!!

「ヤバいっ、タクシー止まった。」

それはあの変なカエルがある地点からよほど

離れてないところ。

カエルのような置物があるのが見える。

「あれ・・カエルじゃないよ。」

佐藤君が残念そうにカエルを見つめる。

えっ、嘘。

あれ、カエルじゃないの?

あたしにはどうしてもカエルにしか

見えないのだが・・・

緑だし、・・・可愛げが全くない。

「あれ、バンビなんだけど・・・」

酷い有様だな!!

誰だよっ、ペンキで汚した奴。

文字まで書いてある。

遠くでよくは見えないけど。

カエルって絶対に書いてあるに違いない。

小鹿なわけないだろうが。

そう思いながら、明香里ちゃんがタクシーから

降りるのを2人でこっそり見た。

「佐藤君って困った人助けるタイプ?」

この男、電車でおばあさんに席を譲るぐらいの

優男だからな。

「立花はどう?」

あたしはどうなんだろう?

まぁ、確かにあの明香里ちゃんの様子は

どう見たって可笑しいのは明白だ。

「でも、ここ・・何か怖いね。」

あたしの住んでる街にこんなところが

あるとは知らなかったさ。

「・・・そうだね。」

もうどうしよう状態のあたしと佐藤君。

明香里ちゃんの様子を影から見る様は

きっとストーカー並みだと思う。

いや、確実にストーカー行為に走ってる

気がしてならないのだが・・・

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