Hurly-Burly 【完】

そういえば、明香里ちゃん。

最近、様子が可笑しかった。

よく保健室にも行ってた。

貧血だと言ってたけど、顔色が明らかに

可笑しいと思ったのだ。

「最近、桑田さん気分悪そうだったから。」

やっぱり、クラスの人気者佐藤君。

あんたよく見てるよ。

「だよね。あたしも心配してた。」

それに、あたしの頭の中にずっと支配

し続けるあの光景。

いつの日か、スーパーでジョセフィーヌの

エサを落とした時だった。

明香里ちゃんが親しげに話していた。

ガラの悪い人たちから何かを受け取ってた。

それを見た瞬間、血の気が引いたのを今でも

覚えているわけだ。

見間違いだとずっと否定してたけど、

今になって思い出される光景。

誰にも言えなかった。

ジョセフィーヌには相談したけど、

『ハニーは考えすぎだよ』

そう言ってジョセフィーヌはあたしが買ってきた

『骨っ子』っていうパッケージの骨にがっついてた。

相談する相手間違ってたな。

でも、思い返してもどれも不自然だった。

「佐藤君、どうする?」

明香里ちゃんをほっておいていいわけない。

クラスメイトの異変に気付いて立ち去ること

なんてやっぱりあたしには出来そうにないよ。

「そんなの決まってるよっ。

連れ戻して話を聞いてあげよう。」

佐藤君が爽やかで人気あるのはこの人の

性格でもあるのかもしれないと思った。

さっきはあれだけ貶してごめんよ。

お前はいい男さね。

そして、あたしの手首折れる。

そんなに強く握りしめられても

あたしお助けマンでも何でもないから。

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