Hurly-Burly 【完】

そして、今まで一言も喋れずボーっとしてた

クール&ビューティーことグレイの髪の

彼が口に出した。

「・・・隠したいってわけか?」

どう説明すればいいのだろうか?

その目にかかりそうな前髪をうっとおしそう

に払いのける彼に目が釘付けだった。

「目立つ行動は慎まないといけないの。」

約束を守らないとあたしが大事にしていた

ものが崩れてしまう。

「委員長ってのも目立つんじゃないの?」

この学校はカモフラージュになるって

あの悪魔1号がわざわざ持ってきた話だ。

「この学校なら大丈夫だって・・・」

だから、委員長っていう大役を買って

彼の言いなりになっている。

「何で?」

ナル君の大きな瞳が揺らりと揺れ動く。

息も出来ないほどに追い込まれるとは

こういうことなのかと改めて気づいた

時にはもう遅かったかもしれない。

「どうしても。」

言葉に出せたのはそれだけだった。

あたしが言えることはこれだけ。

他の何もたった数回ほど会った

人間たちに言えるはずもなかった。

隠したいことか。

そりゃ、人間いくらでもある。

誰だって同じだ。

あたしだけじゃないはずだ。

普通だって聞いたからこの学校に

入ろうと決意した。

その決意を信頼してサユもあたしと

一緒にこの学校に来てくれた。

一人だと心配だからってわざわざマコ君

と一緒に入るはずだった高校を蹴ってだ。

マコ君も何も言わず志望校を変えて、

あたしにサユという唯一無二の恋人と

の高校生活を託してくれた。
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