Hurly-Burly 【完】

お疲れ様


昼休みからの授業はもう心ここに在らずだった。

踏み込んではいけないところに足を掛けてしまって、

自分の失態をミスミス曝してしまった。

それだけならば、まだしも変なところまで

見せてしまいそうだった。

数学の授業はほとんどやりつくしたところで

とくに授業を聞いても聞いてなくても頭の

中にはしっかり入ってる。

隣のサユの視線が気になる。

あたしがお昼休みに帰って来た時、

サユは心配そうにあたしを見てるだけで

とくに聞いて来なかった。

それは多分あたしが自分から言うことを待ってくれてる。

問いただしてもあたしが素直に言い出す子では

ないということを知っているからだろう。

放課後になるまでため息が鳴りやまない。

左隣の不良と右隣の親友からの視線は

半端ないものだった。

身体の穴が開くのも時間の問題かも

しれないと思った時だった。

ホームルームに来てたグレチャー相沢

が企んだような笑みであたしを見下ろす。

その恐ろしい視線が飛び交う教室で、

「立花さん、仕事を頼もうかな。」

もっとも恐ろしい彼に目を付けられた。

もちろん、ここで否定から入るわけ

にもいかず、完璧な作り笑いを見せる。

「ええ、もちろんですよ。」

そんなあたしに彼は満足そうに笑う。

意地汚いぐらい極上の微笑みに

クラスの少ない女子がバタバタと倒れる。

生き残りはあたしとサユのみでその

恐ろしい光景にため息が出る。

「俺も手伝いますよ!」

そして、救世主の登場だ。

佐藤君は今や今やとホームルームが

終わるのを楽しみにしていたはずで、

サッカー部のゼッケンを片手にもう

片方の手をはいと上げる。

爽やかイケメンの心はとてつもなく

優しさに溢れる男の子だった。
< 47 / 419 >

この作品をシェア

pagetop