Hurly-Burly 【完】

早く部活に行きたいだろうに、

委員長の仕事はなるだけ一緒にやろうと

言ってくれた当初を思い出す。

佐藤君の爽やかさにひれ伏せと

思いながら悪魔の貴公子を睨みつける。

「いや、いいよ。

佐藤は部活だろ?

立花さんは確か部活入ってなかったよね?

先生も手伝うから教室残ってなさい。」

俺の言うことが聞けねぇのかという

眼差しを送ってくる悪魔の貴公子に

クラスの女子はメロリン状態だ。

あの悪魔のどこが良いのだと聞きたい。

「えっ、でも。」

佐藤君はやっぱり優しい男の子だ。

最後の最後まであたしを心配して

くれるなんて良いヤツすぎてあたしは

君を心の優しきイケメン登録としよう。

「佐藤君、行って下さいな。

あたしが責任を持って終わらせますから。」

にっこりと作り笑いを浮かべるあたしに、

罰が悪そうな表情を浮かべる佐藤君。

「じゃあ、次は俺も一緒にやるからな。」

そう言い残して彼は一瞬教室から出る

のを躊躇すると振り切るように廊下

に飛び出した。

「ヒヨリ、あたし手伝うよ?」

そんなわけには行かないよ。

サユを待ってるマコ君に悪い。

「大丈夫よ、心配しないで。

マコ君にもよろしくね。」

サユの背中を押す。

あたしに何度も振り返るサユを

教室の外に押す。

「でもっ」

サユがどんなにあたしを信頼して

くれてるか分かる。

この信頼関係が崩れることは絶対、

一生ないと言える自信がある。

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