Hurly-Burly 【完】

それにあの子がまだ全然分からない。

「まぁ、秘密な関係でいいんじゃねぇの。

言ったところで理解出来ねぇよ。

ただ、大事な子だってのは忘れんなよ。」

俺が知る限りでこの人にここまで

言わせるあの子が気になる。

「俺も俺も!

ひーちゃんは大事な子だからな。

泣かせるようなことしたらただじゃ

おかねぇぞ。」

最後ドスのきいた声で言う村田。

どう考えてもあの子に惚れてるって

わけじゃなさそうだ。

「そのひーちゃんっての何?」

さっきからそれが気になって難しい

顔してたのかよ千治・・・・

「気付かなかったとは・・

ヒヨリだからひーちゃん。」

どういう理屈だ。

ああ、何か考えるだけ無駄な気がする。

「そういえば、名前知らなかったな。」

まぁ、委員長ってだけでね。

名前とか聞くタイミングなかったしね。

「今度紹介させるか。」

保健室からの帰り道慶詩が呟く。

夕日に染まる金色。

「いいんじゃねぇーの。」

俺、見てみたいかもしれない。

あの子が自己紹介するところ。

どんな顔で自己紹介するんだろうな。

まだ、会ってそんなに経ってないけど

あんなに面白い子そうそう居ない。

「なぁ、なぁ、今日の夕飯なんだろうな?」

ナルの声が廊下を木霊する。

学校なんて来たいと思ってなかった。

あのまま、退学っていうのもありだった

かもしれねぇーな。

けど、何かこういうのもありかもしれない。

あの子が居る学校なら楽しいことある

かもしんないなー。
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