脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「し、静かに。静かに……」
トン、トン、トン……
包丁をゆっくり動かして、ニンニクを刻んで。
……あれ? 待てよ?
油にこれを入れたら、水どころじゃない音が出るよね?
「しまった……」
なんて思いながら包丁を動かしていたら。
「痛っ……!」
指を切ってしまって。
自慢じゃないけど、料理は得意だ。
指を切るなんてことは久しぶりで。
驚いたはずみで手から滑り落ちた包丁が、
――カチャンッ!!
床で、思いのほか高い音をあげた。
「あわわっ……」
座りこんで包丁を取り上げようとすると、
切った人差し指から、じんわりと赤い血がにじみ出てきた。
「うう……痛い……」
ニンニクが染みて、切ったところがじんじんする。
「何やってんだろ、私……」
指からつつっと流れ落ちる血を見ながらため息をつくと、
「なんだ、今の音は」
頭上で、流川の声がした。