脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
振り向いた流川は、私の持っているメモ用紙を見て眉根を寄せた。
「どこから見つけた」
「家電のわき。麻紀が見つけたんだけどね」
「……ってことは、かけたな? その番号に」
「はは……。よく御存じで」
「バカ」
「……ごめん」
怒られた犬みたいに、一瞬だけ縮こまった私だけれど。
「……何で言ってくれなかったの?」
「……」
「海外に行くって。大事な話なのに」
「……言わなかったわけじゃねーよ。またお前が騒ぐだろうと思ってな」
「……」
やっぱり……。
私に遠慮して、か。
「話したんだろ? 理恵子さんと。どこまで聞いた」
「流川が海外に行くのを迷ってるって」
「……」
「この話のせいでお兄ちゃんとケンカしちゃったって」
「……それから?」
「お父さんもお母さんも……みんなこっちにいるから……、流川も来るべきだって」
「そっか。だいたい聞いたんだな」
軽くため息をついた流川は、持っていたビールをテーブルに置いた。
そして。
「行かねーよ」
「……え?」
「めんどくせーし」
「……め、」
「行かない」
「で、でもっ」
「いいんだよ、別に」
「……」
調子が狂った私は、しばらく目をパチパチして流川を見上げていた。
行かない?
じゃあ……流川と離れなくていいんだ。
このまま、2人でいれるんだ。
……良かった。
嬉しさが込み上げてきた私だったけれど。
胸の中で、何かが引っ掛かる。