脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+

***



「あれ……?」



バイト終了後、PM5:30。


外に出た私の前に、淡い、白い華。


何かがちらちらと漂っているなと思って見上げた空から、雪がゆっくりと舞い降りていた。



「うわぁ……雪だ、初雪だ」



どおりでここ最近すごく寒かったわけだ。



「ひゃ~、なんかウレシイ」



たぶん降り出したばかりの雪は、辺りをふわふわと舞っているだけだけど。


このまま降り続ければ、もしかしたら積もるかもしれない。



「かまくらとか作れるかな。……いや、東京でそれは無理か」



この雪でごまかされたことにして、


雪だるまとかかまくらとか作れたら、寂しい気持ちも紛らわすことができるんだけどな。



「昨日だったら、ホワイトクリスマスだったんだなぁ」



ま、そんなこと、今の私には全然関係ないけどね。


一緒に雪を眺めることのできるヒトがいないし。



「はぁ……」



せっかくの雪にも、すぐに興味が薄れた。


吐き出したため息で、目の前の雪の粒が揺れる。



「あ、クリーニング店発見」



もうすっかり業務みたいになってるカエル探し。


念のため、ファミレス近くにあったクリーニング店にも寄ってみたけれど、やっぱりカエルには会えなかった。



「また明日早起きして探そうっと」



周りでは、傘の華。


うれしそうに空を見上げる人たちを横目に、


ポケットに手を入れた私は、うつむきながら駅へ向かった。


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