脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「……ごめんね」
呼吸が整ってきたころ、ぽつんとつぶやいた私に、
「少しは落ち着いたか」
耳元で流川の唇が動いて。
「うん、もう大丈夫」
ごしごしと目をこすってから流川の顔を見上げると、
困ったような、それでも優しくほほ笑む流川の顔がそこにあって。
……ごめんね、流川。
私、流川がそばにいてもいなくても、こうやって心配をかけてしまう自分が情けない。
流川だって……たぶん、きっと、少しだけ。
私と離れるの、寂しいって思ってくれてるよね?
私だけこんなふうに泣いてたら、流川はいつでも強くいなきゃならないのに。
ごめんね。
いつか流川も、私にだけ、弱さを見せることができるように。
ほんの少しでも、頼ってもらえる自分にならなきゃ。
相手の痛みを、ふたりで分かち合えるように。
「へへ……」
涙が乾いた頬は、少しだけパキパキする。
口角をぎゅっと上げてがんばって笑ってみせると、
まぶたに残っていた涙が一粒だけこぼれた。
その涙を親指できゅっとぬぐった流川は、
「今日はもう、これ以上泣くなよ?」
「うん」
「明日ヒドイことになるからな、顔」
「……そんなことになったらまた流川にからかわれるからもう泣きません」
唇をとがらせながら答えた私を見て、ふっと笑った。
そして。
「泣いたらやんねーぞ?」
「……?」
「オレばっかりもらうわけにもいかねーからな。お前にもくれてやるよ、何か」
「何か?」
「プレゼント、何がいい」
「プレゼント?」
きょとんとした私にうなずいた流川は、
「ひとつだけ聞いてやるよ、お前の願いごと」
私の耳についたピアスを触りながらほほ笑んだ。