脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+


25日朝、


兄貴らに別れを告げてから早々に乗り込んだ便で、日本に戻ったのは26日の午後2時ごろだ。



クリスマス当日をすっ飛ばしたかたちで到着した日本では、何となくだが浮かれた空気も薄れていた。



「しかし寒いな」



向こうとはまるで違う気温に首を縮めながら見上げた空は、雪でも降りそうに真っ白だ。



「ん? いねぇのか?」



真っ直ぐマンションに戻ると、アイツの姿がない。


代わりにどこから見つけたのか、しばらく使っていなかったデカいクリスマスツリーが出されていた。



「こんなデカいツリー、ひとりで飾り付けしたのか?」



よくやったもんだ。


ヘタクソな鼻歌を歌いながらイスにのってオーナメントを取りつけている姿を思い浮かべたら、少し笑えた。



まあでも、寂しさを紛らわすためにやったんだろう。


イブとクリスマスと、ひとりの部屋でどんなふうに過ごしていたのか。


それを考えるとやはり可哀そうなことをした気分になる。


いきなりだったしな。向こうに行く日を告げたのも。



カウンターを見てみると、バイトのシフト表が置いてあった。



「働くな、アイツ」



イブもクリスマスも今日も、仕事を詰め込んだらしい。



「これじゃ探せてねぇだろうな」



ベッドの上もソファの上も確認してみたが、カエルの姿は無い。



「どれ……オレも行動開始するか」



日本を経つ前に思ったアイツが喜びそうなこと……


カエルを探してやるつもりで再び外へ出た。


< 362 / 404 >

この作品をシェア

pagetop