Secret×Honey
ドアの前に仁王立ちで立っていたのは岡山くんだった。
鍵を指でクルクル回しながら、イヤミったらしく笑っていた。
「げっ……」
「おい、げってなんだよ」
「じゃあねっ!」
あたしが走り出そうとすると、岡山くんが手を掴んだ。
逃げるに逃げれなくて、あたしの思考は停止した。
「なんで逃げんの。美海、帰るぞ」
「へ?」
「家の方向どうせ一緒だろ?」
低くてよく響く声で囁いた。
一瞬、心がドキンと波をうった。
あたし、何ドキドキしてんの?
バカみたい……。
岡山くんは無言で歩き出す。
あたしもその後を小走りでついていく。
「岡山くん……」
「聖夜」
「……へ?」
岡山くんは振り向いてあたしを見つめる。
何……?
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