僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「俺には散々問い詰めたくせに、自分の時はダンマリかよ」
……問い詰めたつもりはない、とは言えない現実に目眩がするんですけど。
「それは、祠稀に秘密があったからでしょ。あたしはないんだから、答えようがないじゃん」
あたしを見つめる視線の奥にあるもの。
それを分かっていながら、素知らぬふりをする。
「心配なんだよ」
「ちょ、照れるじゃん。やめてよ」
向けられる好意が嬉しくても、答えることができない。答えては、いけない。
「ふたりとも、何にするの?」
有須が祠稀の後ろから顔を出し、あたしはやっと祠稀の視線から外された。
「んー、あたしはうどんにする! 祠稀は?」
「……焼肉てーしょく」
「じゃあ頼んでくるねっ! 席お願いしてもいい?」
「いいよ有須、俺頼んどくから」
彗がそう言うと、祠稀が「女子は席取り」と言いながら有須の背中を押した。
「じゃあよろしく! 行こ、有須」
「え、あ、うん! じゃあお願いしますっ」
相変わらずな有須に笑いながら、あたしは4人分の席を確保した。