僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「あたしが、」

「凪っ!」


ビクッと体を揺らして、大声を出した俺に向けられた瞳は揺れていた。


ダメだと言うように緩く首を振る俺は、自分で分かるほど苦い表情をしているだろう。


それを見てる凪は相も変わらずボタボタと涙を溢れさせて、両手で顔を覆った。


「……だって……」


それだけは、口にしちゃいけない。言っちゃいけない。


サヤとの恋が絶対的に叶わない原因……凪の、闇――…。


「ひっ……く……」

「自分で自分を、責めないで……」

「だって……っう……」


たまらず、凪を抱き締めた。


いつもいつも、抱き締めずにはいられないんだ。


俺に身を預けて泣き続ける凪と静かに同調するように、涙を流した。



――神様。

お願いです。


どうか、お願いだから、凪を幸せにしてあげて下さい。


俺じゃ、どうしようもできない。一緒に堕ちることしかできない。


できることならいっそ、凪を生まれ変わらせて。


そしたらきっと、今度こそ絶対、サヤと結ばれるように。


なんの苦しみも、絶望も与えずに。


凪に穏やかな、永遠に続く幸せを。



< 401 / 812 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop