僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


◆Side:祠稀


今日は、土曜だ。学校はないし、どこに出かけようが自由。


……だけど。


「なんっで、いねぇんだよ、クソ……!」


怒りだか嫉妬だか分からなくなってる俺は、握り潰せるんじゃないかってくらい、持ってる携帯に力を込めた。


「よ、夜には帰ってくるよ!」


そばに座っていた有須の言葉も、悪いがなんの慰めにも安心にも繋がらない。


昼間に起きて携帯を見ると、彗からメールが届いていた。時刻は朝の5時、俺が寝て間もない頃だ。


内容は≪凪といるから、飯はふたり分作らなくていいよ≫というもの。


「サヤといた凪のもとに、朝5時前に会いに行って、凪といるだぁ……? どこだよクソ彗! ラブホか! ラブホだろ確実に!」

「し、祠稀っ! 落ち着いてっ!」


落ち着けるか!


そう言い返そうと思ったけど、有須がハラハラして俺を見てるから、こらえた。


リビングのソファーに寄りかかり、俺はぐったりと肩を落とす。


「はぁぁぁあ……余裕ねぇー、俺」


カチカチと、口の中にあるピアスのキャッチャーを噛んでいると、有須は「ココア入れてくるね」と、気遣いを見せる。


「お前、いい嫁になるよ」

「……祠稀……あの、少し休んだほうがいいんじゃない?」


感動するか照れるとこなのに、何マジマジと俺の顔を覗いてんだ、オイ。


「ココア」

「はいはい」


ムスッとする俺をくすくす笑って、有須はキッチンへと向かう。


昼だというのに陽の光はなく、リビングには明かりがともされている。窓から見える灰色の空は、無音の雪を降らせていた。

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