僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
まぁ早坂のとこに凪がいる場合、早坂に電話したって平気で嘘つきそうだけどな。
……てか、実際どうなわけ? 家出て、簡単に目星つけられるような場所に行くかふつう。
「もしかして無計画で出てったんじゃねぇの?」
「……それはないと思う。俺らの家賃取っておいたのが、ちょっと……」
引っかかるってか。
まるで凪は最初から、こういう日が来ると分かってたみたいだから?
「でも……凪の感情ってムラがあるんだ、すごく。計画的に出て行ったにしても、衝動的に出て行ったにしても、その後はどうするか……」
「ああ、それは分かる」
サヤが颯輔さんだと俺らにバレた時は泣き喚いて死のうとしたのに、数時間後目が覚めたら笑って自惚れんなとか言うんだもんな。
どっちが本当の凪かなんて、考えても無意味だ。
泣き喚く凪も、平然と笑う凪も、本当の姿だと思う。正直、それが凪の素ならどっちだっていいんだけど。
「とりあえず遊志に電話するけど、凪がいなくなったのは言っていいわけ?」
「うん……。凪は暫く学校にも来ないと思うから。風邪とか言っても、いつまで通るか分かんないし」
「まさか辞めねぇよな?」
「それはないよ……行きたい高校がある、自立したいって颯輔さんを説得したんだから」
辞めるにしても親の承諾がなくちゃいけない……女として会いたくない以前に、そんな娘を見せることはできないってか。
「……お前、頑張ったな」
凪の気持ちを考えたら、そんな言葉が口をついた。言われた本人は目を見張ってすぐ、困ったように微笑んで首を振ったが。
その姿に無性に泣きたくなる。
眩しすぎるほど美しいわけでも、哀れなほど汚らしいわけでもなく。凪をいちばんに想う彗が、あまりに朧気に見えたから。
「遊志に電話するから、その間よろしく」
僅かにココアが残ってる冷めたマグカップを差し出すと、彗は何も言わずに受け取る。
自分のマグカップも持って立ち上がった彗を見てから、遊志の携帯に電話をかけた。
彗が感じる幸せを、ぼんやりと考えながら。