僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「それに、凪の周りにいたのは楽しければいいって子ばっかりだったから、利用するにはうってつけだと思う。中学時代の凪は遅刻とサボりが日常だったし、家に何日も帰らないで、夜出歩いて補導されたこともある。つるんでた子たちも同じタイプだ」
「ふぅん。遅刻サボりが当たり前の凪とか、想像つかねぇな」
早坂の台詞にそう返すと、俺はちらりと彗を盗み見る。
落ち込んではないけど、明るい表情ではなかった。
『……俺が手紙の返事を書いてたら、凪はもっと、苦しまずに済んだかもしれない。自分の体を、物みたいに扱うことも。嘘ばかりついて生きていかなくても、済んだかもしれない』
「……」
壁にかかる時計を見上げると、もうすぐ午後11時になるところ。
「じゃあ、とりあえず……だいたいやること決まったな。他の可能性考えるにしても、凪の中学時代なんて俺ら全く知らねーし」
冷めきったココアを飲もうとマグカップを持つと、颯輔さんは俺に微笑む。
「俺があたってみるよ。中学時代の連絡網、探せばあるはずだから。……大丈夫、もし凪が本当に地元に帰ってるとしても、バレないようにやるよ」
……気付かれて逃げられちゃ、困るからな。
「ていうか、そーすけさん。フライトの時間は? 新幹線、にしても時間大丈夫ですか?」
早坂が時計を見ながら言うと、颯輔さんは「ああ」となんてことないように笑う。
「もう走っても間に合わないね。明日、朝一で帰るよ」
「やっぱり……じゃあ俺の家に泊まってください。部屋ならありますから」
「……ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて」
……早坂の家に泊まるって。
見てる限りじゃ険悪なムードってわけでもないけど、ふたりになった途端に修羅場が始まるとか……。
いや、むしろ凪と早坂の関係なんか話題に出ず、ふつうに酒でも飲むとか……まあ、その点は正直俺らが口出すことでもないんだけど。