僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「俺らはどうする?」
彗と有須に視線を投げかけると、なんとも言えない表情が返ってきた。
凪が地元に帰ってるとなれば、俺らができることは限られてる。まだ学校も数日あるし、凪の居場所が確定するまでは――…。
「ふつうに過ごして」
強く響いた声のほうに顔を向けると、颯輔さんが俺たちに微笑んでいた。
「家に電話して、連絡網探してもらうから。凪が地元にいてもいなくても、また明日連絡するよ。彗に入れれば大丈夫?」
「……うん」
ふつう……。寝て、起きて、朝飯食ったら学校に行って。退屈な授業を受けたら、放課後はボール蹴って、この家に帰ってくることがふつう?
凪がいなくても、俺らには日常がやってくるんだもんな。
「もし凪が、本当に地元に帰ってたら……最初に俺が会ってもいいかな」
たぶん全員が目を見開くと、颯輔さんは今日ここに来てからずっと同じ、寂しそうな笑顔をたたえる。
「まだ……どういう形になるか分からないけど、その後に凪と会ってくれないかな。交通手段なら、俺が全部手配する」
颯輔さんが会ったあとに、俺たちも凪に会う……?
「どうなるか分かんないことを、今考えてもしょうがねーか。俺は別に、それで大丈夫」
「……あたしも、それでいいです」
俺と有須が承諾すると、颯輔さんは彗に目を向けた。
「……俺も、いいけど……凪にメールしてもいい?」
メール?
首を捻ると、颯輔さんはここに来て初めて、穏やかに目元をゆるめた。
「彗がしたいと思うなら、好きにしていいんだよ」
「……何を送るか聞かないの?」
「凪から聞くよ。……彗から手紙が来たら、凪はいつも嬉しそうに、まっ先に俺に見せてくれたからね」
瞳を揺らした彗に颯輔さんはやっぱり優しく微笑んで、もう、色々と覚悟は決まったらしい。
「……冬休みは、帰ってきてくれるの? 彗」
颯輔さんの眼差しは、息子を見る父親の眼だった。
そんな眼を親父に向けられたことはないけど……ヒカリと同じだったから、そう思う。