僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
……だから、もう一度聞いてもいいかな。
今度こそ、受け入れるから。その答えを糧にして、前へ進むから。
「ねぇ……サヤ」
鼓動が速まる。
喉が渇く。
声が震える。
それでもあたしは、目の前にいるサヤから目を逸らさずにいた。
「あたしを引き取って、後悔したことはない? あたしのこと、邪魔だって思ったこと……一度でも、ある?」
サヤはあたしと合わせていた目を、伏せる。
「……いつも、心配してたよ」
「……」
あたしの質問に対するサヤの答えは不透明で、口を噤んでしまった。
「凪をとても寂しがりにさせたのは、仕事ばかりだった俺のせい。分かってたのに……段々わがままを言わなくなってく凪に気付いてたのに、何もできなかった」
……小さい頃、とてもわがままだった自分が懐かしい。
大きくなるにつれて、自分が置かれてる状況を理解し始めて、逆に役に立たなきゃって思った。
「家事を一生懸命覚えようとする凪を、かわいいいと思ったし、申しわけなくも思ってた。幼心に、役に立ちたいって、嫌われたくないって。そう思ってやってるんだろうなって、感じてたから……それで、凪が安心するなら、やらせてあげようと思ったんだ」
そう。サヤは気付いていたから、失敗を繰り返しても『何もしなくていいんだよ』とは言わなくなった。
あの頃のあたしは、サヤに『頑張ったね』『ありがとう』って言われることが、何より嬉しかった。
「いい子に、育ってくれてるなって思ったよ。明るくて、優しくて、しっかりしてて……勉強と運動は少し苦手だったけど、俺はそれでも充分だった」
サヤは昔を振り返るのをやめたかのように、伏せていた瞼を上げる。
「だけどやっぱり、母親は必要かもしれないって思ってて。……そんな時に、緑夏ちゃんに会った」
「……」
初めて知った。あたしに、母親が必要かもと思っていたなんて。