僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「……緑夏ちゃんが一緒に住むようになって、少しは凪の時間ができてるみたいだったから、安心したんだ。友達と遊びに行く機会も増えてたし、よく笑ってたから」


サヤは悲しそうに微笑む。最近いつも、そんな顔だ。


……違うか。ずっと、ずっと前からそう。


「でも、無理して笑ってる時があるなって。たまに弱ったところを見せてくれるけど、理由は話してくれなくて。甘えてはくれるけど、頼ってはくれない凪を、いつも心配してた」


「……」

「一度、言い争ったのを覚えてる?」


悲しそうな笑顔。寂しそうな口ぶり。きっとサヤも、あの時のことを後悔してるんだろう。


「……覚えてる」


忘れたことなんか、ないよ。


中学2年生の冬だ。学校があるのに、朝帰りして。そしたらサヤは寝ずにあたしの帰りを待っていて。帰りが遅かったり、何日も家に帰らないのはよくないと言ったよね。


『俺はずっと、凪は家を大事にする子だと思っ……』

『誰のせいだと思ってんの!?』


サヤがあたしを見ててくれなかったからだと、怒鳴り散らした。


「俺に怒鳴ってすぐに謝って、言い方が悪かったって……凪はあの時も、笑った。ちゃんと家にいる、泊まる時も連絡する。家事もやってから遊びに行くって……そう言ったね」


今思い返しても、バカだったと思うし、しくじったと思う。それ以上に、我慢の限界だったんだと思う。


……それぐらい、サヤへの想いが募ってた。


「それじゃあ、ダメだと思った。そんなことを、してほしいわけじゃなかったのに……俺は結局、また何も言えなかった」


あの時、サヤが言いかける言葉を遮って、あたしは逃げるようにリビングから出てったことを覚えてる。


そうすれば、サヤは何も言わずに諦めることを知ってたから。
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