空をなくしたその先に
「あのね、ディオ」


毛布の中から、ダナの声がする。


「あたし……。

サラ様がどうして裏切ることになったのか、

どうしてもわからない。

あたしには、あんなによくしてくれたのに」


ダナの命を救うために、ためらうことなく皮膚も血液も提供してくれた。

今も彼女の身体には、皮膚を切り取った跡が残っているはずだ。

入院中だって、忙しい合間をぬって何度も会いに来てくれた。

右手でダナの髪を撫でながら、ディオはゆっくりと自分の考えを口にする。


「そうだね。

でも彼女にも思うところがあったんだろうな。

まだ僕たちには見えていないけれど」


それが、自分の持っている研究成果のせいなのは明らかだ。

いっそ事実をダナに告げてしまおうかと、ディオの心がゆれる。


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