空をなくしたその先に
警察に男たちを連れていけば、いろいろとうるさく言われるのは目に見えている。

ディオの素性が明らかになってしまうかもしれない。

それは避けたかった。

男たちの様子を見ていて、ディオはあることを思い出した。

もしかしたら旅券を手に入れられるかもしれない。


「ねえ……出生証明書なしに結婚させてくれる司祭様知らないかな?」

「ちょっと、何でそんな話になるわけ?」


横からわめくダナの言葉は無視して、ディオは続けた。


「僕と彼女は駆け落ちの最中なんだ。

彼女、傭兵辞めてうちにメイドにきた子なんだけど……。

うちの母がメイドと結婚なんてとんでもないと反対してね」


大仰な身振りで肩をすくめてみせる。


「結局、大慌てで逃げ出してきたんだけど、
彼女の出生証明書持ってくるの忘れちゃってさ」

「ちょっと!」


ダナはディオに近づくと、襟元を締めあげた。
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