空をなくしたその先に
「誰が凶暴?

というか、結婚って何よ?」

「……ちょっと待ってて。

逃げようとしたら、どこまでも追いかけてつけは払わせるよ。

……彼女が」


ダナを示しながら言うと、男たちは慌てて首を上下に動かす。
半分ダナに引きずられるようにして、少し離れ、ディオは早口で説明した。


「妻の旅券はなくてもいいんだよ。

夫の旅券に名前を書いておけば」


ダナの声がとがった。

危険信号を察知して、ディオは首をすくめる。


「何それ。

女は男の付属品ってわけ?
なんてふざけた制度なのよ。

それはおいておくにしても、結婚なんて嫌だし。

まだ、ヘクターとも誓いをしていなかったのに」


そうか、とディオは舌打ちする。
いい考えだと思ったのだが、どうも女性にとって結婚というのは何やら大切なものらしい。
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