空をなくしたその先に
「わかった……あたしも無神論者だし、

それでこの島を出られるのなら、嫌だとか言ってる場合じゃないしね」

「出生証明書出さなくていいから、違う名前を使えばいいよ。

そうすれば、ヘクターを裏切ることにもならないだろ?」

「そのあたりはディオにまかせる。適当な名前決めて」


投げやりに言うダナを見て、ディオの良心が痛んだ。

今、ディオ自らヘクターの名前を出すこともなかったのかもしれない。

守ると誓っておいてこの様だ。
何て無力なのだろう。


男たちのところへ戻ると、ディオはもう一度たずねた。


「出生証明書なしで結婚させてくれる司祭様の所に連れていって欲しいんだ。

それで、警察には何も言わないってことでどう?」


男たちは、顔を見合わせた後ディオの提案を承諾した。
< 172 / 564 >

この作品をシェア

pagetop