空をなくしたその先に
「お姉さんは?」
「子どもを一人残して、亡くなりました。
最初から姉がつりあう相手でないのはわかっていたのですけれど……
それでもやりきれませんわね。
相手の男は、子どもを養子に出してそれでおしまい」
吐き出される大きなため息。
首から下げられた真珠が、音をたてた。
「でも結婚生活はそれなりに幸せでしたのよ。
若い妻を夫はそれはそれは大切にしてくれましたもの。
愛してはいなかったけれど、尊敬はしていましたし」
「一つ聞いてもいい?」
ダナの好奇心が、投げかけてはいけないかもしれない問いを口にのぼらせる。
「旦那さんを殺した相手に復讐したって話は本当?」
「本当ですとも」
イレーヌは立ち上がりながら微笑んだ。
「噂の倍以上は苦しめたでしょうね。
彼が死ぬまでに一週間かかりましたもの。
……実際に、私も手をくだしましたのよ」
「子どもを一人残して、亡くなりました。
最初から姉がつりあう相手でないのはわかっていたのですけれど……
それでもやりきれませんわね。
相手の男は、子どもを養子に出してそれでおしまい」
吐き出される大きなため息。
首から下げられた真珠が、音をたてた。
「でも結婚生活はそれなりに幸せでしたのよ。
若い妻を夫はそれはそれは大切にしてくれましたもの。
愛してはいなかったけれど、尊敬はしていましたし」
「一つ聞いてもいい?」
ダナの好奇心が、投げかけてはいけないかもしれない問いを口にのぼらせる。
「旦那さんを殺した相手に復讐したって話は本当?」
「本当ですとも」
イレーヌは立ち上がりながら微笑んだ。
「噂の倍以上は苦しめたでしょうね。
彼が死ぬまでに一週間かかりましたもの。
……実際に、私も手をくだしましたのよ」