空をなくしたその先に
落ちた球を拾い集めて、もう一度並べ直していたフレディが顔を上げた。


「ダナのこと好きだろ」

「な……そんなことないよ」


否定しながらも、頬に血が上るのがわかった。

好きだとか嫌いだとか、考えたこともない。

助けてもらったことには感謝している。

そばにいてくれたことにも。

でもそれがそのまま好意につながるのかと言えば、違う気がする。

彼女との旅は楽しくて、

これがこんな目的でなかったらと思ったこともあるほどだけれど。


「深入りはやめとけ。

お前は器用に遊べるやつじゃないし、あっちもそれをよしとはしないだろ」

「だから違うんだってば」

「そうかあ?」


からかうような声音とともに響く球を突く音。

「それならいいけどな。

深入りするとお互い不幸だぞ。

お前は国を継がなきゃならんし、そうなればどっかのお姫さんと結婚することになる」
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