空をなくしたその先に
彼があの場から逃げ出さなかったなら、負わないですんだかもしれない傷。

申し訳なさがディオの胸をしめつける。


「ダナ」


名前を呼んで、思わず抱きしめた。

びっくりしたように息を飲んで、腕の中で彼女が背中を硬直させたのが伝わってくる。

慌てて離して、両手を自分の背中の後ろに隠した。


「ごめん……本当に、ごめん」
「何に対して謝っているの?」

正面から瞳をのぞきこまれて、ディオは言葉を飲み込んだ。

迷った末に、背中に隠した手を伸ばす。


「ここと」


額を横切る包帯に触れる。


「ここと」


頬のガーゼをそっと押さえて。


「ここ」


首に残る跡をなぞる。


「……本当にごめん」

「こんなの平気よ」


そっと身をひいて、かすれた声でダナが言う。


「もっとひどい怪我だってしたことあるんだから……そうでしょ?」


行き場を失った手が宙をさまよう。

ダナはその手をつかんで、指を絡めた。

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