空をなくしたその先に
夢を見た。

ほんの昨日あったできごとを。

父が倒れたという電報を受け取って、国からの使者を迎えて。
荷物をつめて、メレディアーナ号へ乗船。

偽名を忘れないようにと必死で頭にたたき込んで、
旅程も全部記憶した。

夢のような豪華客船の旅を楽しむ間もなく、空賊の襲撃。

響きわたる悲鳴。
警戒警報……。

警報?

ディオはとび起きた。
この警報は、夢ではない。
島内から響いている!

ベッドから転がり落ちたディオは、
そのまま部屋のドアにかけよった。

手荷物はメレディアーナ号に置いてきてしまったため、
持っていかなければならないものはない。

廊下に顔を出すと、
向こうから早足にビクトールが歩いてくるのが見えた。

彼も寝ていたのだろう。
下半身は一応着ているが、
上半身は裸にシャツをひっかけただけだ。
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