空をなくしたその先に
ディオがようやくあたりを見渡せるようになった時には、二人の姿はなかった。

結局自分は何をできたというのだろう。

フレディの目の前で設計書を破棄しただけで、みすみす彼女を連れ去られてしまった。

こちらもようやく立ち直ったビクトールが、部下たちを走らせる。

ディオの目が、あるものをとらえた。

並んだ足跡。

確かにこのあたりは踏み荒らされているが、その足跡はまっすぐに管理人の小屋へと続いていた。

ビクトールには声もかけず、ディオは小屋に駆け込んだ。

安置所に置いてきた銃を取り戻すことなど思いもしないまま。

後悔だけならいつだってできる。

今は彼女を取り戻す方が先だ。

小屋の中に、地下へと続く通路を発見して迷わず階段をおりた。

通路を走りながら、頭の中で通路の続く先を考える。

カイトファーデン家の地所に出るであろうことは、容易に予測できた。

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