てのひら。
旅行の2日目。
この日はさとうきび収穫やサンシンの演奏、お菓子作りの体験で、
運よくあの2人とは違うコースだった為、それはそれで楽しむことが出来た。
体験が終わると、ホテルに生徒が集まる。
そうすると、待たずとも皆が顔を揃える夕食の時間はやってくる。
グループのメンバー達は、体験談をまじえながらそれは楽しそうにしていたが、
私はといえば一部分の嫌な空気と視線のおかげで楽しい、否、美味しいどころでもなかった。
一人静かに食事していても、すぐ近くでこそこそと小さな声が聞こえてくる。
それが私に対してのものであろうがなかろうが、こそこそとされればやはりいい気はしない。
その日の夕食はほとんど手付かずのままで、私はお茶をぐいっと飲み干すと
小さな舌打ちを背中に受けて、誰よりも早く部屋に戻った。