てのひら。


旅行の2日目。

この日はさとうきび収穫やサンシンの演奏、お菓子作りの体験で、
運よくあの2人とは違うコースだった為、それはそれで楽しむことが出来た。



体験が終わると、ホテルに生徒が集まる。

そうすると、待たずとも皆が顔を揃える夕食の時間はやってくる。


グループのメンバー達は、体験談をまじえながらそれは楽しそうにしていたが、

私はといえば一部分の嫌な空気と視線のおかげで楽しい、否、美味しいどころでもなかった。


一人静かに食事していても、すぐ近くでこそこそと小さな声が聞こえてくる。


それが私に対してのものであろうがなかろうが、こそこそとされればやはりいい気はしない。



その日の夕食はほとんど手付かずのままで、私はお茶をぐいっと飲み干すと

小さな舌打ちを背中に受けて、誰よりも早く部屋に戻った。



< 5 / 23 >

この作品をシェア

pagetop