美女の危険な香り
 はっきりと決めていた。


「優紀子とは絶縁だ」と。


 これが仮に死の床にある洋平の耳にでも入れば、エライことになるのだが……。


 可能な限り隠し通すことにした。


 逃げ切れるところまで逃げ切ろうと思っていて……。


 そして何かと冷え込む二〇〇九年の大晦日を経、二〇一〇年の元日を迎えることが出来た。


 俺と千奈美は年が明ける瞬間、テレビで歌手のカウントダウンライブを聞いていた。


 いつも年越しのとき、すっかりお馴染みである顔ぶれがテレビに出ているのを何気に見ながら……。

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