美女の危険な香り
「君も分かるのかい?大会社の社長の苦労が」


「そうね。あたしみたいな腰掛けのOLには全部が全部分かるとは言えないけど」


「でも、いつもは違った場にいても分かり合えてるからね」


「ええ。今日から年末まで楽しみましょ」


「うん。ちゃんとスケジュール割いてるから」


 俺が頷くと、マスターが、


「肉焼き上がったよ。付け合せのサラダとスープも出来てるから」


 と言い、カウンター越しに二人分の食事を差し出す。


「今年のクリスマスはあっけなかったな」


「ええ。ウイークデーだったから、ゆっくり出来なかったしね」


「ケーキ食べた?」


「食べてないよ。ケーキどころか、仕事に追いまくられてた」


 するとそれを聞きつけたマスターが、
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