美女の危険な香り
「今井さん、ケーキとコーヒーサービスするから」


 と言った。


「いいの?」


「ええ。いつも来てくれてるからね。御礼にと思って」


「じゃあ、一応彼女の分も出してあげて」


「分かってますって」


 マスターがケーキをナイフで切り分けて、淹れ立ての熱々のコーヒーと一緒に出す。


 俺たちは冷めないうちに食事に箸を付け、食べ終わってから、ケーキを口にした。


 極上のデザートである。


 おまけに脂肪を分解してくれるブラックコーヒーまで付いている。


 俺も千奈美もケーキを食べながら、


「一年が終わっていくわね」


「ああ」
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