勝利の女神になりたいのッ!番外編
「なにも...。」
「俺はずっと孤独だった。後悔と恨みだけで作られていた俺を紫衣の心が救ってくれた。囚われていたんだ、自分の思いに囚われて動けなかった俺を溶かしてくれたのは紫衣なんだよ。」
「もう、紫衣をおいていかないで。ずっとお兄ちゃんの側にいたいよ。」
「それは出来ない。だけど紫衣はもう見つけたんだろう?」
「お兄ちゃんも一緒に...。」
「俺は、ずっと側にいる。紫衣はもう一人じゃないだろ?」
ボロボロと流れ落ちる涙を掬い取るようにして三成の唇が紫衣の頬に触れ、最後に額に触れた後、紫衣は三成の腕の中に包まれた。
結局、二人から目を逸らせなかった...。
見たくないものを見てしまった...。
三成は紫衣から離れてその姿を薄くしていく。
「紫衣、逢えて嬉しかったよ。」
「行かないで!!イヤー!!」
叫ぶように悲痛な声を出した後、紫衣は意識を失った。
グラリと揺れる彼女の体を支えながら俺は三成を呼び止めたくて声を張り上げて彼の名を呼んだんだ。
卑怯だぞ!
泣かすだけ泣かして姿を消すなんて...。
ちゃんとお前の気持ちを伝えろよ!!
ちゃんと彼女の気持ちを受け止めろよ!!
俺だって...
俺だって...
このままじゃ、どうしていいかわからないだろ!