勝利の女神になりたいのッ!番外編
「紫衣を連れて行ってやれよ。」
俺の声を聞いたのか三成は俺の前に姿を現せた。
「それは出来ない。」
さっきのあの優しい表情は見間違いかと思えるほど冷静ないつもの三成。
「どうしてだよ!!なにがいけないんだよ!!」
食いつくように話す俺を三成はチラリと横目で視線を向けてから口を開いた。
「俺と一緒に生きることを紫衣は望んではいないからだ。」
「そんなこと聞いてなくてよくわかるな!!」
「俺にはわかる。紫衣の苦しみもこれでなくなった。」
「はぁ?意味わかんねぇ...。」
全部自己解決じゃないか!!
わかるように説明しろよ!!
俺はグッタリとした紫衣の体を抱き上げて三成に差し出した。
「紫衣はお前が心配するような女ではない。俺には家族のような愛情を抱いてはいるがお前に抱くそれとは違う。
今日、紫衣をここに連れてくるようにいったのも紫衣の心の中の不安や苦しみを取り除いてやるためだ。紫衣がずっと自分の代わりに時代を渡らせてしまったもう一人の紫衣のことで心を痛めていた。その紫衣が幸せなのだと見せてやりたかっただけなのだ。」
「なんだそれ...。」
気絶するくらい泣き叫んだ紫衣がお前を求めてないって言うのか?
可哀想な紫衣。
赤く腫れた瞼が痛々しい...。
「紫衣を守るのはお前だ。」
「ハンっ!勝手に決めてんじゃねぇよ!」
「泣かせるなよ。さしずめ俺は紫衣の兄だからな、お前にとっては俺は義理の兄上様だということを忘れるな。舅でもよいがな...。」
ニヤリと不敵に微笑むと俺の腕の中で眠る紫衣の頬に触れて三成は姿を消した。
はぁ?
義理の兄上様?!
舅って...?!