☆小悪魔*天然わんこが同居人☆
『じゃあ美玲ちゃんに電話するね』
「あぁ。……ん?今?」
『うん』
鼻声で返事をしながら鞄をごそごそ漁って携帯を取り出す。
「ここでか…?」
『うん』
「俺聞いててもいいってことか?」
『うん』
すべてに、うんと答えながら携帯の電話帳から美玲ちゃんの名前を探す。
『っよし!!』
すーはー、と深く深呼吸をして気合いを入れたあと、ボタンをぽちっと押した。
『……』
プルル…プルルル…、と機械音が聞こえる。
「…大丈夫か?」
『…だいじょ、ぶ…』
少し声が震えた。
顔が強張ってる僕を心配して声をかけて来た紅に、少し引きつった笑顔で答えた。
出るかな…
出て、くれるかな…
不安でいっぱいになり始めたとき、機械音が途切れた。
《もしもし…》
…出てくれた。
久しぶりに聞いた美玲ちゃんの声に、ふっと安心して顔が緩んだ。