窓に影2
土曜であるのをいいことに、どっぷり眠りに落ちる。
途中で母が部屋に来たような気もしたが、ひたすら夢に身をうずめた。
「おい」
そのとき見ていたのは、勉強をせずに数学の期末試験で100点満点を取るという夢だった。
「おい、恵里」
教師に褒められ、クラスメイトに崇められ、歩に優しく頭を撫でられるという、気分の良い夢……。
「んふふ、次も頑張る……」
これが寝言だということに、自分は気付いていない。
「起きろって」
ツーンと飛び込んできた、夢とは何の脈絡もない歩のセリフ。
この瞬間、私は現実に引き戻された。
「出かけるぞ」
目の前に、歩の顔。
メガネじゃないし、髪型も作っちゃってるし、ジーパンだし。