ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
二人は指示通り、岩壁の隅の方へ身を寄せ合うようにして立っていた。私も背を向け、ピッタリと身体を付ける。

私は持っていた荷物をその場へ下ろすと、両掌を前に突き出した。

「これから私が透過系の術を使って、向こうからこちら側を見えなくするから。でもそれには、あなたたちの協力も必要なの。二人とも、自分の気配を消すことはできる?」

「無論」

「当然ですぅ〜。僕は巡礼者ですけど〜最低限、それくらいの修行は積んでいますから〜」

「オーケー、安心したわ。それができないと隠れたことにならないのよね。人間ならともかく、相手は気配には敏感な魔物だから」

気配を消すには多少の集中力が必要だったが、それはある程度の修行経験で養えるものである。
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