ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
ぐぅ。
突然腹が鳴った。
そういえば昨日のギルドで食事をして以来、一切何も口にしていない。
この音でそのことを思い出した私は、早速朝食を摂ることにした。
昨日のようにいつ魔物が現れるかは分からなかったが、暗闇の時と違って明るいほうが逃げやすいし、「腹が減っては軍(いくさ)はできぬ」とも言うし。
私はそこら辺にある手頃な切り株に腰を下ろすと、荷物から干し肉1枚と乾パン1個を取り出した。これだけでも朝食としては十分である。
(そうだ。父さんに手紙を送らなくちゃ)
私はちぎった乾パンを口の中へ放り込み、携帯していた水筒の水と一緒に喉の奥へ流し込むと、荷物の中から紙とペンを取り出した。
父からのもう1つの条件は、毎日手紙を送ることだった。