意地悪王子とお姫様
ベッドが二つ並んでいる。
「……誰かいるんだ」
右の方は、カーテンが閉まっていた。
………あ、れ……?
影が二つ。
嫌な予感がした。
「お願い、本当まじで」
「嫌よ。みんなに言いつけてやるわ」
「最後にやればいいわけ?」
「咲貴は、分かってない」
ほら、予感が当たった。
保健室を出ようにも、気になって出ることができない。
イスにでも座っとこうかな…?
イスに手を掛けた時だった。
「咲貴、お願いっ?」
――ガタッ!
別な女が呼ぶ、あたしの好きな人の名前。
つい手が滑ってしまった。
あわあわしている内にすぐにカーテンが開く。