彼女が死んで一年がたちます
 「それで、思い出話してたら里美、急に黙って話があるって言ったんだ。

 急に真剣な顔になったから俺心配になってどうしたんだって聞いたんだ。

 そしたらあいつ…俺と別れたいっていったんだよ。

 俺あんまり急で良くわかんなくなってた。

 つい怒鳴っちゃって、そんなの許さないって、そういってもごめんって言うだけで考え直せっていっても聞かなかった。

 俺、駄目だってわかってたのに、女に手あげるなんて、まして里美になんて思ってたけど、あいつの頬はたいちゃって…」


 晃が苦しそうに話すのを見ると、俺たちは何も言えなかった。

 重い空気に耐え切れず目を泳がせていると満のドリアがまだ来ていない事に気づいた。

 このタイミングで来てもらっては困ると思った。
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