甘い魔法―先生とあたしの恋―
「あ、和馬くん……タイムリーだね」
振り向いたあたしに気付いて軽く笑顔を見せる和馬に、あたしは諒子と顔を合わせて笑う。
楽しんでいる様子の諒子が浮かべる笑みとあたしのそれは、少し違うと思うけど。
「どうしたの?」
食後のゆっくりとした雰囲気の教室。
あたしが聞くと、和馬は眉間に少しシワを寄せた。
「どうしたのってさー……俺から来ない限り、実姫は俺と話さないじゃん」
「そんな事ないって」
「いや、絶対そうだって。実姫、俺のクラス一度も覗いた事ないだろ」
「……」
「俺がどこの席だかも知らないだろ」
「……」
黙ったあたしを見て、和馬が小さなため息をつく。
そんなあたし達の様子を見て、諒子が笑い出した。
「和馬くん片思いだねー。そうそう、恋って言えばね、実姫がなんか話があるらしいよ」
そう言いながら諒子が送ってきたアイコンタクト。
それに促されるように、和馬を見上げた。
「……和馬」
「ん?」
和馬の何の疑いもない顔を見ると、やっぱり小さな罪悪感が浮かんできてしまって……あたしは見上げていた視線を机に落とす。
机の上に置いた手をぎゅっと握りしめて、絞り出すように声を出した。
「あの、ね……あたし、好きな人ができた。
……和馬の知らない人だけど」
『彼氏』
そう呼ぶにはまだ自信がなくて。
なんだか中途半端になってしまった言葉に、和馬を見上げる。