甘い魔法―先生とあたしの恋―
ビンを見つめていると、自然と回想される今までの出来事。
その記憶が、あたしの気持ちを不安にさせる。
こうして1人で悶々と考えていると、片思いしてた時と全然変わらない。
両思いになったって、何かが大きく変わる訳じゃないんだって、そんな事にため息が落ちた。
先生と両思いになれたからって、あたしは素直に抱きつけないし。
甘えてみたりもできないし。
心の中にある不安だとかそんなのを先生に相談するなんて……絶対にできない。
きっと、顔を合わせたって、今日の朝みたいに会話するのがやっとで……。
あたしには、紅茶を入れてあげる事とか、教本に目を通す先生を覗き見するくらいしか……。
……第一。
昨日の告白が、本気なのかどうかもなんか……。
そんな事まで疑い始めていた時、クローゼットがノックされた。
ノックの音に、身体が小さく跳ね上がる。
一緒になって飛び上がった胸を押さえてから、肩下くらいまで伸びている髪を手櫛で直しながら、ゆっくりとクローゼットを開けた。
「ただいま」
目が合った途端に先生が微笑んだりするから、その笑顔に胸が大げさに反応する。
「……おかえりなさい」
なんだか気恥ずかしい挨拶に目を逸らすと、先生が少し笑ったように感じた。
「ちょっとそこどいてろ」
笑顔を浮かべたままの先生の言葉。
不思議に思いながらも、言われた通りに何歩か後ろに下がる。
すると、先生はクローゼットの仕切り板に足を掛けて……器用にあたしの部屋へと着地を決めた。
その光景に唖然としていたあたしだったけど、いつかの言葉を思い出して、はっとして口を開く。