十人十色-それぞれの恋- 短編集
「刹那…」
後ろを向いた彼女が刹那の名前を言ったので、俺も後ろを向く。
そこには刹那がいた。
いつもクールで表情を変えない彼女が、今はとても悲しそうな顔をしていた。
「亜佐美…何してるの?」
「何って告白。ダメだった?」
「ダメじゃないけど……でも何で?」
「あんたが嫌いだからだよ!!」
俺は二人が話していることがよく分からなかった。
俺に告白してきた奴は、俺のことが好きでしてきたわけじゃなくて、刹那の事が嫌いだから告白してきたのか?