私、海が見たい

中村は、上を見て、どう言おうか考えていた

しばらくして、恵子が、言いにくそうに、
しかし、決心したのか、

「もし………………、
 もし、あなたが………………、
 あの子を幸せに
 してくれるのだったら。
 ………………、

 私はどうなってもいいの。
 あの子を幸せにしてくれるのなら、
 私………………、あの人と
 別れてもいいと思っているの。

 私、あの子のためなら、
 何でもするわ」


消え入りそうな声でそう言うと、
恵子は中村の返事を待った。

しかし、中村はまだ、
考えがまとまっていなかった。

「いや……、しかし……、
 ………………、

 そんな事、言うたって」

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