勇者は僧侶のなんなのさ
守衛さんの言う通り、少女はベッドの上で眠っていた。


その無邪気な寝顔はとても可愛らしい。


これが先程玉砕を狙って足を振り上げた張本人とは思えない。


しかし、これだけ可愛いのに、テロ組織の一員である可能性が高いのだ。


世の中は悲しい。


これだけの容姿があれば、もっと楽しい生き方もできるだろうに。


こんな世の中だからこそ、容姿でも芸でも良い、他人に夢を与えることが大事。


その素質を悪い方に使う以外、無かったのだろうか。


「私と良い勝負ね」


「…………僕のシリアスモードをかえせ!」


「シリアスモード? それより、女の子の寝顔をじっと見るのは失礼」


「…………うん」


いつか絶対に言い負かせてやる。


そんな事を思いながらも少女から目を離した。


「若いって良いわね。お肌がピチピチ」


大して変わらない年齢のくせにシサはそんな事を言う。


同年代の女の子と比べてもシサは色白だし、肌のツヤも悪くはないと思うが。


女の子の美的感覚はよくわからない。


「おこす?」


「うーん、どうしょうか…………」


低級とは言え、魔法で眠らせている。
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